AGA治療は効果がない?効果のある治療方法と根拠を徹底解説

AGA

「AGA治療には効果がない」と考えている方も多いのではないでしょうか。

「薄毛の治療にはそもそも効果がない」と考えている方も未だに多く、

それは、
・わかめを食べると髪の毛が生える
・唐辛子などの辛いものを食べると髪の毛が生える
・頭皮マッサージをするだけで薄毛が大幅に改善する

といった、いわゆる「エセ科学」のようなものが広まりすぎて何が正しいのか分からない、ということもあるでしょう。

しかし、実はAGA治療には日本皮膚科学会でもしっかりとした実験を行い、効果を認められた正しい治療方法が存在するのです。

そこで、今回は効果があるとされる治療方法について徹底解説していきます。

AGAは効果が認められた治療方法が確立されている

まず、AGAには効果が認められた治療方法が確立されています。

A.行うよう強く勧める(少なくとも1つの有効性を示すレベルIもしくは良質のレベルIIのエビデンスがあること)

B.行うよう勧める(少なくとも1つ以上の有効性を示す質の劣るレベルIIか良質のレベルIII,あるいは非常に良質のIVのエビデンスがあること)

C1.行ってもよい(質の劣るIII~IV,良質な複数のV,あるいは委員会が認めるVIのエビデンスがある)

C2.行わないほうがよい(有効のエビデンスがない,あるいは無効であるエビデンスがある)

D.行うべきではない(無効あるいは有害であることを示す良質のエビデンスがある)

引用:日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」より

日本皮膚科学会にはこのようなAGA治療における推奨度を表すランク付けがされており、Aランクに分類されている治療方法は3つもあるのです。

それはフィナステリドの内服、デュタステリドの内服、そしてミノキシジルの外用なのですがそちらについては次の項で詳しくご紹介していきます。

「プラセボ群」とは?

本記事で日本皮膚科学会の論文を引用する際、「プラセボ群に比べ、有意に増加した」という記述が複数ありますが、「プラセボ群」とは本物の薬と外見や味、重さなどをそっくりに作った偽物の薬を処方されたグループのことです。

「プラセボ効果(プラシーボ効果)」という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、効き目のある成分が全く入っていない薬を「これは〇〇に効果がある薬です」と処方された人が快方に向かうことがあります。

これが「プラセボ効果(プラシーボ効果)」であり、実際に「薬によって症状が改善した」かどうかをチェックするために比較しているのです。

各AGA治療の効果について徹底解説

日本皮膚科学会でAランクに分類されるAGA治療の効果について徹底解説していきます。

日本皮膚科学会Aランクに分類されている、フィナステリドを使った治療を受けた、デュタステリドを使った治療、そしてミノキシジルを使った治療の効果について解説していきます。

1.フィナステリドを使った治療の効果について

フィナステリドを使った治療の効果
  • フィナステリドは「AGAの予防」に使う薬
  • II型5α還元酵素を阻害する作用
  • 頭頂部の写真判定で軽度改善以上の効果が認められた

まずはフィナステリドを用いた治療の効果についてです。

フィナステリドは主にAGAの「予防」に使う薬です。

AGAは「テストステロン」という男性ホルモンと、「II型5α還元酵素」が結合することで「ジヒドロテストステロン」が発生ます。この「ジヒドロテストステロン」がAGAの原因となっており、男性の薄毛を引き起こしています。

フィナステリドは「II型5α還元酵素を抑制する作用がある」とされています。これにより、テストステロンとそもそも結合しないように作用し、ジヒドロテストステロンを発生させない、という仕組みでAGAを予防します。

さらに,フィナステリド(1mg/日,0.2mg/日)を用いた,414名の「日本人」男性被験者を対象とした観察期間48週間のランダム化比較試験において,頭頂部の写真撮影による効果判定では,1mg/日では58%が軽度改善以上の効果があり,0.2mg/日では54%が軽度改善以上の効果が26).引き続き1mg/日投与を継続した非ランダム化比較試験では,2年間および3年間の内服継続により,軽度改善以上の効果が各々68%および78%の症例で得られ,その率は増加傾向を示した27).

引用:日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」より

日本皮膚科学会の論文にもこのように記載されている通り、頭頂部の写真判定で軽度改善以上の効果が認められているので、AGAの予防や進行を防ぐために非常に有効な治療薬であるとされています。

2.デュタステリドを使った治療の効果について

デュタステリドを使った治療の効果
  • デュタステリドは「AGAの予防」に使う薬
  • Ⅰ型・II型両方の5α還元酵素を阻害する作用
  • 体内に長く留まる

フィナステリドがⅡ型の5α還元酵素を抑制することができる一方で、デュタステリドはⅠ型とⅡ型両方の還元酵素を抑制する効果があるとされています。

4,950 名の男性被験者を対象とした観察期間 6~60 カ月のシステマティック・レビュー35)において,頭髪写真評価で毛量増加を示した被験者比率を比較したところ,デュタステリド 0.5 mg/日内服群はプラセボ群に対して優れた効果を示した.

引用:日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」より

フィナステリドで効果が感じられない方は、Ⅰ型の5α還元酵素がジヒドロテストステロンを発生させる原因となっている場合もあります。

フィナステリドで効果が感じられない方でも、デュタステリドならば効果が感じられるといった場合もあります。

しかし一方で、フィナステリドよりもデュタステリドの方が体内に滞在する時間が長く、副作用が発現する確率も高いとされています。

血中半減期というものを用いてフィナステリドやデュタステリドが作用を体内に及ぼす期間を測るのですが、血中半減期というのはその字の通り「血中濃度が半分になるまでの時間」です。

フィナステリドは血中半減期が6時間から8時間程度なのに対し、デュタステリドは約4週間とされており、非常に長いのです。

その分高い効果が期待できますが、体内に長く留まることで副作用が発現する可能性も高いのではないかという見解もあります。

3.ミノキシジルを使った治療の効果について

フィナステリドを使った治療の効果
  • ミノキシジルは「発毛を目指す」薬
  • 外用は日本皮膚科学会も推奨
  • 内服は日本皮膚科学会では推奨されていない

ミノキシジルを使った治療の効果についても確認していきます。

ミノキシジルの外用は、

男性型脱毛症に関しては,2%ミノキシジル液を用いた 5 件のランダム化比較試験41)~45)を解析した,924名の男性被験者を対象とした観察期間 24 週のシステマティック・レビューにおいて55),2%ミノキシジル群ではプラセボ群に比べ,脱毛部の総毛髪数がベースラインより平均で 20.90 本(95%信頼区間 9.07~32.74)と有意に増加した.

引用:日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」より

と日本皮膚科学会の論文でも記載されているように、効果が実証されており、推奨度もAとなっています。

ミノキシジルの外用を頭皮に直接塗布することで毛母細胞が刺激され、細胞分裂が活発になり、頭頂部や前頭の薄毛に対して高い効果があるとされています。

また、内服薬であるフィナステリドやデュタステリドとは作用機序(薬が治療効果を及ぼす仕組み)が異なるので、併用することも可能です。

しかし一方で、ミノキシジルの内服は日本皮膚科学会では推奨されていません。

現状、多くのAGAクリニックでミノキシジルの内服薬は処方されます。

元々高血圧治療のために処方されていたのですが、ミノキシジルを内服した方の多くに「多毛症(体毛の量が異常に増える症状)」が認められたことから転用されたものです。

しかし、国内では臨床試験も実施されておらず、日本皮膚科学会でも利用は推奨されていません。

ミノキシジル内服の有用性に関して臨床試験は実施されていない. ミノキシジルは降圧剤として開発されたが本邦では認可されていない.また,男性型脱毛症に対する治療薬としても認可されている国はない.それにもかかわらず,全身の多毛症を起こす副作用があることを根拠に,医師が安易に処方したり,一般人が個人輸入で入手し服用することがあるので,医薬品医療機器等法の観点から問題視されている.

多毛症以外のミノキシジル内服薬の副作用の報告は少なく,内服用製剤の添付文書中の市販後調査欄に,胸痛,心拍数増加,動悸,息切れ,呼吸困難,うっ血性心不全,むくみや体重増加などの重大な心血管系障害が生じるとの記載がある.

引用:日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」より

このように胸痛や動悸、心拍数増加などの副作用も懸念されていることから、心臓が弱い方は特に利用を控えた方が良いでしょう。

AGA治療を行う際に「効果がない」と感じるケースについて

AGA治療を行う際に効果がないと感じるケースはかなり多くあります。

実際に効果がない場合もあるのですが、さまざまな理由から効果が感じられないケースがあるので、大きく分けて5つ、今回はご紹介していきます。

1.日が浅く、効果がまだ実感できていないケース

まずは「日が浅く、効果がまだ実感できていない」ケースです。

基本的にAGAの治療は最低でも3ヶ月以上経過しないと効果が実感できないとされており、最低でも半年程度は効果を実感するまでに見積もっておく必要がある、と多くのクリニックで推奨されています。

しかしあまり調べずに治療を受け始めたら、すぐに効果があると感じている方の場合、「本当に効果が得られるのか?」と感じてしまう方も多いことでしょう。

AGAの治療は多くの場合、初期脱毛というヘアサイクルを整えるためにまず細くて短い髪の毛が抜けるところからスタートします。

よって髪の毛が「むしろ減っている」と実感する方も多いでしょうし、「本当に髪の毛が生えるのか」と不安になる方も多いでしょう。

しかし初期脱毛が始まったということは薬が効いている証拠ですし、そもそも髪の毛が生え始めるまでには最低でも3ヶ月、多くの方がしっかり実感するまでには少なくとも半年はかかるというのが通例ですので、焦らないでゆっくりと、長い目で治療を続けていきましょう。

2.適切な治療方法を選択できていないケース

適切な治療方法を選択できていないという場合もAGA治療において多くあります。

例えば血液検査を行わず、自身のAGAの原因をよく分からずにフィナステリドの服用をしてしまうと、Ⅰ型のα還元酵素が原因でジヒドロテストステロンが発生している場合、Ⅱ型にしか効果が発揮できないフィナステリドではほぼ効果がないのです。それを知らずに長い間フィナステリドで治療を続けても、あまり効果は得られません。

Ⅰ型α還元酵素に作用できるのはデュタステリドですので、しっかりとあらかじめ自身の薄毛の理由について血液検査やマイクロスコープ検査などを用いて検査をしていくことが大切なのです。

また、上記の「フィナステリド」「デュタステリド」は予防を目的として処方される事が多いです。「発毛」を目指している方は「ミノキシジル」の併用も積極的に検討すべきでしょう。

3.AGA治療を途中で中断してしまったケース

AGA治療は途中で中断してしまうと、効果が実感できません。

多くの方にはAGA治療にあたって、まず最初に「初期脱毛」というものがあり、短くて細い髪の毛抜けてしまいます。

その段階で「髪の毛を生やすための治療なのに、なぜ髪の毛が減っていくんだ」と不安になり、治療を自己判断でやめてしまう方も多くいます。

しかし、初期脱毛というものはAGAによってバランスが極端に偏ってしまったヘアサイクルを整え、髪の毛が成長する期間である成長期を伸ばすために必要なものなのです。

もし初期脱毛が始まった段階でAGA治療を中断してしまった場合は、むしろ「AGA治療を始める前よりも髪の毛が薄くなり、「ただお金を払って、髪の毛がさらに薄くなってしまっただけ」ということにもなりかねません。

AGA治療は一度始めたら効果が実感できるまでしっかりと続け、もし半年、1年と続けても何も効果が感じられず不安になった場合は医師に相談するようにしましょう。

4.AGA以外が原因で薄毛だったというケース

そもそもAGA以外が原因で薄毛になるというケースもあります。

ストレスなどが原因で発症するとされている「円形脱毛症」は、AGAとは異なる薄毛になります。

円形脱毛症の治療方法はステロイド療法や液体窒素療法、局所免疫療法などであり、AGA治療を行っても髪の毛が生えるわけではないので、他の対策が必要になります。

円形脱毛症以外にも、皮膚の疾患による脱毛症などもあげられます。

皮脂の分泌機能の異常や分解産物による刺激などの影響で脂漏性皮膚炎などが発生し、粃糠性(ひこう性)脱毛症になる方も多いです。

この場合、脱毛などをはじめとしてフケやかゆみなどの症状があり、髪の毛が細く光沢が無くなっているのでステロイドの外用や抗真菌剤などで治療を行います。「髪の毛が細く光沢がなくなる」というのが厄介な症状で、AGAと症状が似ているので見分けづらいということが難点です。

他にも、甲状腺機能低下症などで甲状腺ホルモンの分泌が低下し、ヘアサイクルが乱れて休止期に入る毛髪が増えて脱毛してしまうケースもあります。この場合もAGAと症状が似ており、区別がつきづらいです。

薄毛の原因としてはAGAが多いものの、区別がつきにくい症状もあるため、確実に判別したい場合はクリニックでマイクロスコープを使った頭皮診療やホルモン量検査などの利用がおすすめです。

5.独自に入手した薬を使用しているケース

そして最近多いのが、「独自に入手した薬を使用している」というケースです。

最近ではインターネットを通じて海外などから薬を輸入できるサイトも多くあります。

そのサイトの多くには「証明書を取得した」という記載があったり証明写真が貼られていたりなど、信憑性が高いように感じられますが、稀に偽物の薬を販売しているサイトもあります。

そういったサイトで購入してしまうと、その薬が身体に合っているかどうかではなく、その薬が本物であるかすらも怪しいです。

何も効果がないどころか、偽の薬であった場合、副作用などが発生する場合もあります。

自身で購入する場合、AGAクリニックで治療を受ける場合よりも少しだけ料金が安くなることもありますが、こうした間違った薬や偽物の薬を販売されてしまう可能性や、副作用による健康被害なども懸念されます。

「少しの安さ」と「安心」を天秤にかけてみて、どちらが重要かどうかは一目瞭然のはずです。

個人輸入よりも、しっかりとしたクリニックで治療を受ける方がおすすめです。

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まとめ

今回はAGA治療にあたって効果のある治療方法と根拠を徹底解説しました。

特に日本皮膚科学会の論文でも効果があると紹介されている治療方法は、ほとんどの方が根強く治療を続ければ発毛が実感できる治療方法ですし、副作用の発現の可能性もかなり低いです。

もし副作用が発生した場合も、どのような副作用が発生するか、副作用が発生した場合はどのような対策をすればいいか、などをそれぞれのAGAクリニックほとんどがしっかりと把握しているので、安心して利用することができるでしょう。

AGA治療は日本皮膚科学会が論文を発表している「エビデンスがある治療」ですので、安心して利用してみてください。

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